
乗用車がようやく通れるほどの細い登り坂を抜けると、車窓の先に広がるのは、どこか懐かしい里山と田園の風景。日本の原風景ともいえる景色に心を奪われていると、「メェーメェー」と愛らしい鳴き声が風に乗って届きます。
北アの麓に広がる里山


ここは「小菅沼・ヤギの杜」(以下、ヤギの杜)。富山県魚津市の北アルプス山麓に広がる里山で、年間を通して親子で楽しめる体験企画や、大人も夢中になれるイベントが開催されています。
放し飼いにされたヤギたちは、この里山の人気者。人懐っこく穏やかな性格で、来訪者のそばに自ら近寄ってくることもあります。のどかな原風景の中でヤギと触れ合えるのは、「ヤギの杜」ならではの魅力です。
キノコ狩りに森林散策、子供も楽しめるイベント充実
2025年10月25日、筆者はヤギの杜で開催された体験イベントに参加しました。 この日のプログラムは、①キノコ狩り ②森林散策 ③巣箱づくり ④ピザづくりの4本立て。親子連れの参加者などが集まりました。


森へ入る前に行うのは、クマよけのための爆竹です。子どもたちはドキドキしながら慣れない手つきで火を点け、慌てて走って離れます。数秒後、「バチバチバチ」と音を立てて白煙が上がり、森に響き渡る爆発音。さらにロケット型の爆竹も発射し、「ピュー」という高い音の後に「バーン、バーン」と響く轟音。思わず大人も笑顔になります。これならクマもびっくりです。

クマよけの鈴を鳴らしながら、いよいよキノコ狩りへ。子どもたちは目を輝かせて原木に生えたナメコを探します。「こんな大きなナメコは初めて!」「こっちにもあるよ!」と声が飛び交い、コツをつかむと大人よりも早く見つけてしまいます。一通り収穫を終えると、次は命あふれる森の散策へ。
木道を進むと、思わず見上げるほどの立派な杉の木が並びます。子ども2人が手を回しても届かないほどの太さ。適度に間伐された森は、日差しが地面まで届き、下草が広がっています。杉の森を抜けると、今度は広葉樹が広がります。紅葉は始まりかけで、赤や黄に色づいた木々が点在しています。足元にはドングリやクルミ、クリ、キノコなど、秋の恵みがいっぱい。
ガイドさんが「クリはイガだけ残っているでしょ。クマが食べたのかもしれませんね」と話すと、参加者からは苦笑いがこぼれます。近くの木には、クマの爪とぎの跡も残っていました。

”手作り”だから輝く、子供の才能
森の探検を終えたら、次は巣箱づくりに挑戦です。用意された木材を、ノコギリで切り、金槌で釘を打ち、電動ドライバーでネジを締め、グルーガンで接着します。本格的な作業に、子どもも大人も夢中。スタッフのサポートを受けながら、親子で協力して制作します。
飾りつけでは、子どもたちの自由な発想が光ります。ある子は巣箱の屋根に苔を貼りつけ、自然の温もりを感じる仕上がりに。「子どもの発想って本当にすごいですね」と感心する大人たちの声があがりました。普段見られない子どもの姿に触れられる、貴重なひとときです。

お昼はお待ちかねのピザづくり。地元産のバジルやナス、ピーマンなどを使い、米粉で作った生地を一人一枚ずつ伸ばしていきます。トマトソースを塗り、好きな具材をトッピング。石窯に入れて10~15分、香ばしい匂いが漂い始めると、焼き上がりの合図です。
出来たてのピザは、森の空気の中で食べると格別。キノコ狩りで採れたナメコを使った味噌汁とともに、参加者全員で美味しくいただきました。

ヤギの杜では、季節によって箒づくりや稲作アートなど、さまざまな体験が用意されています。四季折々の自然に触れながら、ヤギと遊び、森と語らう時間。心をリセットし、親子で自然を満喫できる「小菅沼・ヤギの杜」で、あなたも里山の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
取材日:2025年10月25日(土)
