
北アルプス北部に位置する僧ヶ岳や立山連峰の一角をなす毛勝山などへアクセスできる魚津市。立山ガイド協会に所属し、映画「剱岳・点の記」などで山岳ガイドも務めた佐伯岩雄さんに“魚津の夏山の魅力”とともに、自身が運営する登山ショップ「TYROL(チロル)」(魚津市佐伯)のコンセプトなどについて聞きました。

―魚津でお勧めの夏山を教えてください
「魚津には僧ヶ岳や毛勝山、釜谷山などがありますが、お勧めといえば、やはり魚津を代表する標高2,414メートルの毛勝山です。西北尾根ルートから登り、稜線に出ると見晴らしが最高ですよ」
―稜線上でほかに魅力的な山はありますか
「例えば、モモアセ山という標高2,023メートルのピークがあります。山頂付近には『池塘(ちとう)』と呼ばれる湿原が広がり、毛勝山をはじめとした魚津の名山や室堂などの雄大な景観が楽しめます」

―登山の難易度を教えてください
「魚津から登るルートは、比較的難易度が高いと想定してください。西北尾根ルートにしても、(ルート上の登りの高さを合計した)累積標高は1,700メートルに達します。これは一般的な登山者が日帰りで山行できる限界の数値です。登頂するには十分な体力と高い技術も必要なため、中・上級者向けですね」
「また、秋の紅葉シーズンも大変綺麗ですが、秋は日が短くなります。未明に登り始め『夕方までには必ず下山を完了させる』という強い覚悟で臨んでほしいです」
|洞杉を目指すハイキングや山城巡りもおススメ

―魚津市内で軽登山やハイキングを楽しむ場合は
「片貝川の源流域にある、樹齢500年~1,000年を超える天然スギの古木『洞杉』を目指してハイキングしてみてはいかがでしょうか。個人的には、鹿児島の屋久杉と比べても、樹齢や大きさでは見劣りしない価値があると思っています。しかも本州から見に行くとなれば、断然、魚津の方がアクセスしやすいですからね。また、市内には天神山城跡や松倉城跡といった山城があります。歴史に思いをはせながら散策してみるのも一つの楽しみ方です」

―佐伯さんは山岳ガイドのほかに登山用具の専門店も運営されていますが、ショップを始めた経緯を教えてください
「創業した父親が60歳になったタイミングで店を辞めたのを機に、完全に引き継ぎました。当時、30歳くらいでしたね。創業から50年以上は富山駅前で営業していました。ただ、オンラインショップの普及や大手ショップの進出、コロナ禍の影響、家賃などの経費負担も大きかったため、現在の場所に移転して再開しました」
「今の店舗の建物は、実はもともと納屋でした。かなり傷んでいましたが、富山県内の業者さんや地元の職人さん、知り合いにも協力してもらってリノベーションしました」
―ショップのコンセプトを教えてください
「父親が精力的に登山活動をしていたこともあって、創業当時から『質が良く、一流の登山用品を仕入れて売っていきたい』という思いがあります。もちろん、私自身が実際に使ってみて本当に良いと太鼓判を押せる良品だけを揃えています」

―今後、どのようなショップにしていきたいですか
「誰でも気軽に立ち寄れるようなショップにしていきたいですね。登山用品の販売だけでなく、例えば、敷地内に駐車場とシャワールームなどを用意してランニングで立ち寄れるスポットにしたり、自転車を置いてサイクリングが楽しめる環境を整備したりと、いろいろな可能性を秘めている場所だと思います」
「これまでは私が山とスキーの専門で、店のコンセプトも今はそういった感じですが、息子を含めた若手の世代が川や海に関心を示しているので、今後は新たなコンセプトも取り入れてもらいたいですね」
―海を絡めた新たな企画を教えてください
「息子たちの企画の一つに、SUP(スタンドアップパドルボード)のツアーがあります。ミラージュランド前の海岸や、早月川の河口付近などでの開催を計画しているようです。山と川、海がこれほどコンパクトにまとまっている地域だからこそ、さまざまな体験を企画できるのも魚津の特徴です」
―改めて、魚津の魅力とは何でしょうか
「魚津駅前には宿泊施設も多く、山や海、観光名所に行くにしても中間拠点となり便利です。そして、市内外を含めて短い移動距離の中でさまざまなアウトドアの選択肢があること自体が、魚津の魅力ではないでしょうか」

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