
魚津の歴史に触れ、食文化を堪能できる“大人”のための「産業観光ツアー」が11月29日、魚津市内で初めて開催されました。「魚津の水が育む“お酒や伝統食”」をテーマに、国登録有形文化財やワイナリー、酒店をめぐり、最後は飲食店2ヶ所をはしごして、海の幸と地酒を満喫するツアーです。知的好奇心と食欲をそそる“大人”ならではの愉しみ、嗜みがぎゅっとつまった、魚津の贅沢な一日を紹介します。
あいの風とやま鉄道魚津駅ロータリー。出発前から参加者の待ち遠しそうな声が広がっていました。バスに乗車後も車内では魚津の歴史や産業にちなんだクイズで参加者は大盛り上がり。正解者には魚津産加積りんごのほか、お酒好きにはたまらない缶ビールにホタルイカの素干しがプレゼントされました。惜しくも缶ビールがゲットできなかった参加者からは「もっと真剣に考えればよかった」と本気で残念がる姿もありました。
目的地までの道中、当社の“物知り博士”こと、専務の宮野が魚津市の地形を生かした甘いりんごづくりの話や、珍しいバス停の名前が生まれた裏話、道中に見える大手企業が魚津の水循環を取り入れていることなど、なかなか聞くことができない地域ならではの話を面白おかしく紹介し、車内は終始和やかな雰囲気と笑顔に包まれていました。
海の駅蜃気楼と、蟹かご発祥のまち

最初に訪れたのは、海の駅「蜃気楼」。魚津発祥のカニ籠漁に使用されるカニ籠の展示を間近で見学しました。漁業のまちとして歩んできた魚津の歴史に触れた参加者からは「カニ籠の中に入れるエサはなんですか」「水深何メートルのところに設置するの」といった質問も出て、興味深く聞き入る姿が見られました。
米騒動発祥の地で、歴史を実感
続いて、米騒動発祥の地を見学。全国へ広がった「米騒動」や「貧民救済制度」の始まりが魚津だったことの解説が行われました。
米騒動というと、大きな争いのように聞こえますが、魚津の米騒動は“日本の中でもとても珍しい、けが人も処罰者も出なかった平和な騒動”だったといわれています。その背景には、魚津の女性たちの“生活を守りたい”というまっすぐな思いがあったこと、明治22年に制定された、現在の生活保護法の基となる「貧民救済制度」が全国に先駆けて制定されたことがあったとされています。解説を聞いた参加者からは「知らなかった」「とても興味深い話を聞くことができてよかった」などの声が聞かれました。
その後、魚津水産株式会社の取締役・中村好成さんのご厚意により普段は入ることのできない旧十二銀行(現・株式会社北陸銀行)の建物内部も見学。内部は、当時のままの内装が残されており、木の柱や壁の色合いから、長い年月、この場所が役割を果たしてきたことが伝わってきました。参加者は太い柱に触れたり、高い天井を見上げたりしながら歴史の重みを感じている様子でした。
水と暮らしをつなぐ「東山円筒分水槽」
東山円筒分水槽では、水を公平に分ける仕組みや、水循環と人々の暮らしとの関わりについて解説を行いました。当日は晴天にも恵まれ、さまざまな角度から写真を撮ったり、円筒分水槽を見下ろせる場所に立ってみたりする参加者。「空気が美味しいね」と深呼吸をする参加者の姿も見られました。
魚津の水循環を実感「KANATAワイナリー」
日が暮れ始めたころに、KANATAワイナリーを訪問。栽培醸造責任者の土井祐樹さんから、海抜0mから標高2、400m以上の山岳地帯までが、奥行きわずか約25㎞に収まる、大変急な地形からなる魚津の水循環を活かしたワインづくりについての話を聞き、7種類のワインの試飲を楽しみました。
「美味しいね」「飲みやすいね」という声や、中には「酔っぱらってきた~」と、ほろ酔いの参加者の声も。お酒も入り、参加者同士の会話が一層弾み、和やかな時間となりました。

お酒談議に花が咲く「長岡酒店」
続いて訪れた長岡酒店では、日本酒嫌いだった店主・長岡貴啓さんがハマった地酒の魅力の講談を聞きました。いなか酒とも呼ばれる地酒の原点が富山の美味しい米と水、職人魂でできている、「故郷」を感じる地酒の魅力をたくさんの人に知ってほしい。という長岡さんの熱い思いを聞いたり、お酒の試飲をしたりしました。「どのお酒がおすすめですか?」と買い物を楽しむ姿も見られました。
「魚津酒造も見学してみたかった」「違う銘柄も試飲したかった」といった声も聞かれ、酒文化への関心の高さがうかがえました。

魚津駅前で味わう、食と交流
夕方からは、魚津駅前の飲食店「和食処 えん」「銀河食堂 掛」の2店舗を、2グループに分かれてはしご酒形式で巡りました。「和食処 えん」では、魚津酒造の穂波と北洋の飲み比べや刺身、バイ貝の煮物などが提供され、「やっぱり富山の魚は美味しいね」「バイ貝の身の取り方が分からないね」と、参加者同士で会話を楽しみながら食事をする様子が見られました。

「銀河食堂 掛」では、KANATAワイナリーのワインやバイ貝のベーグル、鶏肉を塩こうじに漬けて焼いた料理などが提供され、「掛の鶏肉が特に美味しかった」「食事とお酒をたしなめて、とても充実した時間だった」といった声が寄せられました。
なんと、解散した後も参加者同士でお酒を飲みながら会話を楽しむ姿が。運営側としてすごく嬉しかったです。帰り際には全員の方が「楽しかった、ありがとう!また参加したい!」とスタッフに声をかけ、笑顔で帰路につきました。


ツアーを通して多く聞かれたのは、「スタッフの皆さんが心温かく、細やかな気遣いが嬉しかった」「クイズや差し入れなど、一つ一つの配慮が印象的だった」という声です。
また、今回のツアーを開催するにあたり、私たちスタッフも魚津の歴史や文化を学び直し、参加者の皆様に向けてどのように説明すれば分かりやすいのか、魚津の魅力を知っていただくためには「どう工夫して伝えたらよいか」と考えながら準備を進めていきました。ツアー後、参加者からたくさんの「楽しかった」の声を聴くことができ、スタッフ一同大変嬉しく思います。
学びと味わい、そして人との出会いを通して、
魚津の魅力を再発見する一日となりました。
