
知る人ぞ知る魚津市の観光地スポット「洞杉(ドウスギ)・洞杉群(ドウスギグン)」には、「魚津の秘境」「魚津の神秘」ともいわれる幻想的な環境が広がっています。天然スギの巨木は圧倒的なスケールで、訪れた者を魅了します。群生するスギの中には、主幹の幹周が1,560センチメートルに達するものも存在します。これは、スギの巨木(単体部門)として新潟県の将軍杉(1,931センチメートル)、鹿児島県の縄文杉(1,610センチメートル)に次いで全国3番目の太さを誇ります。巨岩を抱え込むように成長したスギの姿は、それ自体がまるで1つの生態系を形作っているかのような光景です。筆者は9月30日、現地へと取材に訪れました。
カーシェアで、いざ!洞杉へ

洞杉は、市内を流れる片貝川上流域に群生しています。今回は、魚津市と富山ダイハツ販売が共同運営するカーシェアサービスを利用して、洞杉の入り口となる「南又谷駐車場」へと向かいました。市街地を抜けて山間部へと進むにつれて草木が生い茂り、途中、7~10頭はいたであろう、ニホンザルの群れにも遭遇しました。現地に到着する前から魚津の自然の豊かさを実感するドライブとなりました。
「南又谷駐車場」に到着後、一通りの支度を終えて散策へ出発です。基本的には舗装された道路を進みます。案内板もあるため、トレッキングやハイキングの初心者も気軽に訪れることができますが、山間部という地形柄、勾配のきつい道が複数点在しています。
自然の「美しさ」と「厳しさ」の共存を体感

道中、がけ崩れによるものか、岩肌がむき出しとなった対岸が姿を見せます。その対岸にもスギをはじめ多くの樹木が根を張り、厳しい自然環境の中で、ひたむきに生きようとする姿が垣間見えます。
洞杉も例外ではなく、この厳しい自然環境を生き抜いてきました。片貝川の急流によって運ばれた花崗岩の巨岩の上に、たまたまスギの種子が落ちます。そして、岩の上に生えた苔の水分を吸収しながら、長い年月をかけて岩の表面を這い、地面へと根を張り、巨木と成長するのです。「土から十分に養分が吸えるようになるまでには数十年、もしくは100年以上かかる」(魚津市観光案内)とも言われています。
洞杉に思いをはせながら歩いていると、目の前に巨木が姿を現しました。厳しい自然環境にどれほど長い年月を耐えて今の姿に成長したのでしょうか。

苔やシダ植物などに覆われた巨岩を包み込むように這う根。茶褐色や赤褐色のスギの表皮にも苔が生え、さらにその巨木を土台として別の樹木が育ち、まるで新たな生命を宿しているかのようです。
根元から岩を包み込んでいる幹の部分は、異形ともいえるような複雑な姿をしていますが、そこを境に上部は一般的なスギらしく真っすぐ伸びています。幹からは枝葉が大きく広がり、天を覆うような勢いです。自然の力強さに畏怖の念を抱く一方で、枝葉の隙間から差し込む木漏れ日は優しさも感じさせます。
巨木と巨石が織りなす独特の世界

洞杉は確認されているだけで、大小含めて120本超が群生しています。上述の通り、それぞれが異形な姿をしており、見る者を飽きさせません。最大洞杉の周辺は散策しやすいように「観察路」も整備されているほか、クマよけのために通路脇の数ヶ所にベルも設置されています。ただし、観察路は朝露などによって大変滑りやすくなっているため、ハイキングなどに適したシューズを履いて慎重に歩くことをお勧めします。

魚津市の市街地からアクセスしやすく、軽装備で楽しめる洞杉。例年12月~翌年6月頃までは冬季通行止めとなるため、来訪できるのは1年のうち約半年間だけです。10月中旬を過ぎると紅葉のシーズンも迎えるため、鮮やかに色づく木々を愛でながら、神秘的な洞杉を訪れてみるのもおすすめの過ごし方です。
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