
魚津水族館の「餌料費」「燃料費」「光熱水費」は2021年度から2025年度の期間でそれぞれ31%~55%の幅で増加しました。人件費の上昇に加えて老朽化対策や設備更新なども重なり、自助努力によるコスト吸収が限界を迎える中で検討項目として挙がったのが「二重価格」です。導入となれば富山県内で初のケースとなります。

二重価格は、主に観光施設や観光地が所在する地域に住む住民の料金を低くする一方で、域外からの観光客の料金を高く設定する仕組みです。観光資源や施設の維持、オーバーツーリズム対策の財源確保といったメリットが見込めますが、導入する根拠が不明瞭であれば価格差による不公平感やイメージ低下につながる懸念もあります。
水族館における二重価格の事例では、2024年に竹島水族館(愛知県蒲郡市)が導入しました。市民(高校生以上)の入館料は500円とする一方、市外からの入館者(同)は1,200円と700円の差があります。いおワールドかごしま水族館(鹿児島県鹿児島市)も2025年10月に二重価格を導入。市民(同)入館料は1,500円、鹿児島市以外の入館者(同)の入館料は2,000円です。いずれの施設も維持管理費の増大や市外観光客からの適正な運営費の徴収などを理由としています。

魚津水族館の入館料改定を巡っては、関係者が試行錯誤した結果、毎年1億円の繰入金(税金での補助)を踏まえると市民にはさらなる負担増を求められないという考えで折り合い、市民の料金は据え置き、市外からの入館者の料金を値上げする二重価格で、具体的に検討が進められています。

仮に二重価格が導入された場合、市外からの高校生以上の料金(一般料金)は従来比200円増の1,200円、小中学生は同100円増の600円、幼児は同100円増の300円となります。ただ、越前松島水族館の一般料金(高校生以上)2,200円やのとじま水族館の同1,890円、新潟市水族館マリンピア日本海の同1,500円、上越市立水族博物館の一般料金(18歳以上)2,000円と比べても、魚津水族館の1,200円(高校生以上)は安価な設定と言えます。

また、市民の入館料改定の可能性については「現在、一切そういった話は出ていません」と魚津水族館の館長・清水悟史さんは断言します。その上で「今まで税金で市民の方には多大な支援をいただいてきました。今回、市外の方には20%の値上げで検討を進めていますが、この値上げについては、市外の方にも魚津水族館を支えていただきたいという願いがあります」と理解を求めました。

ただ、値上げによって客足が遠のくリスクやイメージ低下といった懸念は拭いきれません。値上げのダメージを極力抑えながら、入館者数と入館料収入増を実現するため、同館では入館料以上の満足度を提供する新たな取り組みを進めています。さらに、その先に見据えるのが、同館独自の組織目標として掲げた2030年度の完全黒字化です。
〈岐路に立つ、日本最古の水族館 ㊦〉では2030年度の完全黒字化に向けて動き始めた魚津水族館の姿に迫ります。
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