
魚津が熱狂に包まれた3日間―。「じゃんとこい魚津まつり」が8月7日から9日にかけて盛大に開催されました。
初日は経田(きょうでん)地区の「経田七夕まつり」で開幕。蜃気楼ロード沿いの諏訪神社周辺ではユネスコ無形文化遺産にも登録された「たてもん祭り」も行われ、夏の魚津は早くも熱気に包まれました。8日には魚津港や「海の駅蜃気楼」周辺で「UO!JAZZ2026」や「海上花火大会」などが開かれ、訪れた人々を魅了。最終日は、魚津駅前の大通りで約650年の歴史を誇る伝統民謡「せり込み蝶六」を街中で踊る「せりこみ蝶六街流し」が行われ、熱狂の祭りはフィナーレを迎えました。「じゃんとこい魚津祭り」初参加の筆者が熱気に満ちた当日の模様をリポートしました。
ノスタルジックな「経田七夕まつり」

初日は今年で第72回目を迎えた経田七夕まつりを取材しました。メインステージに集まる人々の活気を横目に、まずは伝統行事「笹寄せ」が行われているエリアに向かいました。笹寄せは地区内の各家庭や団体などが七夕飾りを持ち寄り焚き上げる伝統行事です。


七夕飾りが炎の中に投げ込まれると、竹や笹の爆ぜる大きな音とともに、勢いよく火柱が上がります。傍らで静かに手を合わせて祈る人々を炎の赤が照らし出し、夕焼け空もひと際赤く染まるような幻想的な瞬間でした。


ふと、経田港北防波堤灯台に目をやると数隻の漁船が停泊しています。「灯籠流し」の準備のようです。許可を得て防波堤上に移動しカメラを構えると、漁船から海へと灯籠が流され始めました。海流の影響で防波堤の陰に流れてしまい一瞬の出来事でしたが、海面を優しいオレンジの光が彩りました。

日が沈むにつれて会場の熱気は一層高まり、ステージでは抽選会が行われ、当選が発表されるたびに歓声が沸き起こりました。防波堤のライトアップやステージの照明、会場の一画を照らす灯籠の明かりが美しく輝く中で盆踊りも行われ、フィナーレに向けて会場の高揚感は一層高まりました。


そして、迎えたクライマックスの「海上花火大会」。ここまで至近距離でかつ無料で観覧できる花火大会は貴重ではないでしょうか。夜空を切り裂くように打ち上がった花火が大輪の花を咲かせ、地響きのような重低音が全身に伝わってきます。経田七夕まつりの締めくくりではありますが、「じゃんとこい魚津まつり」の本格的なスタートを告げる豪快な号砲となりました。

雷鳴の中、JAZZと海上花火大会で盛り上がる海岸沿い
2日目は、たてもん祭りを観覧しつつ、たてもんの背景に打ち上がる花火を写真に収めるため、花火大会開催の3時間前から諏訪神社付近の沿道に待機していました。すでにカメラを構えた人が十数人待機している状況で、時間が経つにつれ1人、また1人と増えてきました。
しかし、次第に不穏な空気も流れ始めました。滑川方面と魚津の山側には雷雨を予感させる黒い雲が空に広がり、雷鳴が聞こえてきました。
その時、「たてもん中止だって」という女性の声を耳にしました。悪天候のため、8日の「たてもん祭り」は残念ながら中止となりました。
筆者は経田七夕まつりを取材していたため、初日の「たてもん祭り」には足を運べませんでした。今年は「たてもん」の曳き回しを生で見ることができませんでしたが、来年の楽しみとしておきます。

ここで「たてもん祭り」について少し紹介します。「じゃんとこい魚津まつり」の期間中に開催されるメイン行事の一つで、高さ約16メートルの大柱に90個以上の提灯を三角形につるし、専用のそり台に立てて、約80人で威勢よく曳き回すものです。総重量約5トンもの「たてもん」が動き出した瞬間の熱狂は凄まじいと聞きます。
なお、「たてもんの三角形は、三方に贄者(にえもの)を、山と積んで神前に供える形をかたどったもの、あるいは全体が、帆をあげた漁船をかたどったもの」(魚津市観光案内公式HPより)と言われています。
また、2016年12月1日にたてもん祭りはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の1つに登録されました。
気を取り直して「おさかなランド」横の「海の駅蜃気楼展望台」に移動しました。UO!JAZZ2026の上質なジャズのメロディーや軽快なMCの声、参加者の歓声が響く中、写真撮影の準備を進めます。展望台にはTV局のカメラも並び始めました。

花火大会開始までの間、周囲の人々と談笑していると、突然大きな雷鳴とともに空一面に稲光が走りました。雨と風も強まり、「延期か……」という不安が頭をよぎった瞬間。
――ドーン、バチバチバチ!
海上花火の打ち上げ場から小さな花火が上がりました。続いて、開催決定のアナウンスも流れると、周囲からは安堵のため息も聞こえました。一時は強まった雨も開始5分前には小康状態となり、いよいよ大輪の花火が夜空を彩り始めました。






富山市から訪れた観覧客は「子どもたちに自慢できる良い写真が撮れました。撮れ高もバッチリです」と満足そうな笑顔を見せてくれました。
会場からの帰り道、たてもん祭りのエリアから大きな歓声が聞こえました。見に行くと、子どもたちが一生懸命、小型の「たてもん」を曳いていました。小さくとも活気あふれる姿を一目見ようと多くの見物人が集まり、見守る大人たちの熱気も相まって、「たてもん祭り」の伝統と勢いを肌で感じることができました。


一方、中央通り商店街に足を進めると、先ほどの喧騒から一転して静寂に包まれており、「うおづキャンドルロード」の優しい光が街中を照らしていました。「餌差公園」や「魚津神社」などに並べられたキャンドルは、熱気に満ちた祭りの中で人々に心安らぐ癒しを与えてくれたのではないでしょうか。


フィナーレは魚津が踊り狂う「せり込み蝶六街流し」
最終日の舞台は「あいの風とやま鉄道魚津駅前通り」です。祭りのフィナーレを飾るせり込み蝶六街流しが行われました。
江戸時代から伝わる伝統民謡「魚津せり込み蝶六」は、念仏・祈り・感動・喜びを表現したもので、激しいリズムに合わせた極楽蝶が舞うような華やかな踊り姿が特徴です。
市内の地区や企業、学校などの各チームがこの日のために練習を重ね、趣向を凝らした演舞を披露しました。






熱気を帯びて舞う踊り手たち。沿道は溢れんばかりの観客で埋め尽くされ、温かい声援やカメラのシャッター音などが響き渡りました。
また、周辺の飲食店やキッチンカー、露店などではグルメを楽しむ人々の姿も多かったです。
地域の一体感を改めて集まった人々に強く印象づけ、魚津の魅力と地域の力強さを存分に感じさせた3日間が、こうして幕を閉じました。
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